フレンチコロニアル邸宅をリノベーションした洗練されたブティックホテル、「Signature by M Village Danang Heritage(シグネチャ・バイ・エム・ビレッジ・ダナン・ヘリテージ)」は、フランス植民地時代の独特の構造と外観をほぼそのまま残し、歴史を感じさせる佇まいが魅力です。
ダナンの活気ある文化を取り入れた空間デザインが特徴で、伝統とモダンが融合した唯一無二の滞在体験を提供しています。
今回、筆者が宿泊したのはスイートルーム。55㎡の広々とした室内には上質な家具が揃い、リラックスできる空間が広がっています。フランスのアンティークなルーバー窓や精巧な彫刻が施された手すりなど、ベトナム中部の歴史と独自性が息づいています。
本記事では、筆者の宿泊体験をもとに、このホテルの魅力を徹底解説します。ベトナム旅行を計画中の方は必見です。
目次
ダナンの100年の歴史を見守る建築遺産
戦争や都市開発など、時代の移り変わりを静かに見守り続けたこの建物は、2024年11月、新たな歴史を刻むホテルとして蘇りました。フレンチコロニアルの優雅な外観とモダンシックな内装が融合し、かつての華やかな宮殿の面影を残しつつ、洗練された空間へと生まれ変わっています。
立地は、チャム彫刻博物館まで2.5km、ラブロックブリッジ・ダナンまで3.2km、ダナン国際空港までは約7kmと、主要スポットへのアクセスも良好です。
ビーチへは車で10〜15分で行けるほか、ドラゴンブリッジまでは徒歩約10分と観光にも便利な立地。さらに、マダムランやハン川クルーズの船着き場、日系の飲食店やスーパーも近くにあり、滞在中の食事や買い物にも困りません。周辺はダナン市の行政機関が集まるエリアでもあり、治安の面でも安心できる環境です。
それでは、館内の様子をご紹介します。
ダナンの発展を見守り続けた建築
建築は、ベトナムの近代史とともに歩んできた歴史的建造物です。その起源は1926年に遡り、海事産業を支えながら、経済成長の立役者となった実業家 バッハ・タイ・ブオイ氏 の私邸として建設されました。当時のダナンでは最大規模の民間プロジェクトのひとつであり、市の発展を象徴する建築でもありました。
その後、時代とともに移り変わりながら、2002年に「トゥ・ボン・ホテル」として生まれ変わり、多くの旅人を迎えてきました。ホテル名は、ダナンとホイアンをつなぐ「トゥ・ボン川」にちなんでおり、街の歴史との深い繋がりを物語っています。さらに、1975年には都市解放を記念し、邸宅のある通りが「リー・トゥオン・キエット通り」に改名されました。
長年にわたり、戦争や都市開発の波を乗り越えながらも、建物はその歴史的価値を守り続けてきました。2024年、フレンチコロニアルの優雅な外観を保ちつつ、現代的な洗練さを兼ね備えた新たなホテルとして生まれ変わりました。
フレンチスタイルの外観とモダンシックな内装
フランス植民地時代の影響を受けた黄色い壁、赤い瓦屋根、カーブを描く鉄製のドアなど、クラシカルなデザインが印象的です。まるでフランスの街角に佇む邸宅のような雰囲気を醸し出しています。
一方で、ホテル内に足を踏み入れると、モダンで洗練された空間が広がります。客室やロビーはミニマルなデザインを基調とし、落ち着いた色調で統一されるようリノベーションされています。木材や大理石調のインテリアが、上品でリラックスできる雰囲気を演出しています。
館内にはレストランやカフェが併設されており、1階の屋根から延びる赤いテントの下には、ビストロチェアが並ぶテラス席が広がります。まるでフランスのカフェにいるかのような空間が広がり、朝のコーヒータイムや夜のワインを片手に、心地よい風を感じながらゆったりと過ごせます。
快適と美しさを両立したモダンシックなスイートルーム
今回筆者が宿泊したのはスイートルーム。洗練されたデザインと機能性を兼ね備えた空間で、ゆったりと快適に過ごすことができました。
モダンでスタイリッシュなインテリアに加え、心地よい滞在をサポートする設備が整い、細部にまでこだわりが感じられます。加えて、スタッフの気配りも行き届いており、より快適な宿泊体験を提供してくれるホテルでした。
機能的で洗練されたリビングとベッドエリア
リビングエリアにはデスク、ソファ、テーブル、ミニバー、ポット、コーヒーミル、水500mlボトル2本、セーフティボックスが完備されており、ワークスペースとしてもくつろぎの場としても快適に活用できます。シンプルながらも高級感のあるデザインで、長時間の滞在でもストレスなく過ごせる工夫がされています。
ベッドルームには、心地よいキングサイズベッドが設置され、旅の疲れをしっかりと癒してくれます。さらに、薄型スマートTVが備わっているため、リラックスしながら映画や音楽を楽しむことも可能です。
また、ベトナムでは一般的にトイレとシャワーが一体型のバスルームが多いですが、同ホテルでは日本のようにエリアが分かれており、使い勝手の良さが魅力のひとつです。シャワーキャップ、シェービングセット、コーム、歯ブラシなどのアメニティも充実しています。
壁や家具にはオレンジや赤土色などの暖かみのある色調が使用され、落ち着いた雰囲気を演出しています。客室の種類も充実しており、スタンダードルーム(20㎡)、スーペリアルーム(24㎡・ソファ付き)、デラックスルーム(28㎡・キングサイズベッド付き)、そして今回筆者が宿泊したスイートルーム(55㎡・バルコニー付き)など、ニーズに応じた選択が可能です。
ただし、エレベーターは設置されていないため、荷物が多い場合は事前にスタッフに相談するとよいでしょう。
心配りが行き届いたサービス
もうひとつの魅力は、スタッフの細やかな気遣いです。例えば、筆者が「バイクや外の騒音が気になるかもしれない」と話すと、スタッフは「もし気になるようでしたら、静かな2階のお部屋に変更できますので、お申し付けください」と柔軟に対応してくれました。
また、滞在中に窓を開けていたところ、蚊が入ってしまったのですが、スタッフに相談すると、すぐに虫除けスプレーを持ってきてくれました。その対応の速さには驚かされ、ゲストが快適に過ごせるよう細やかな配慮が行き届いていることを実感しました。
充実した施設コーワーキングとランドリーエリア
本章では、館内の各施設やサービスをスポットごとに詳しくご紹介します。建物の歴史や客室のインテリアだけでなく、館内には魅力が詰まった設備や体験が豊富に揃っています。
静かに集中できるコワーキングと書斎エリア
ホテルの1階と2階には、リモートワーカーやビジネスパーソン向けに設計されたコワーキングスペースと書斎エリアが完備されています。館内全域で利用可能なパスワード不要の無料高速Wi-Fiを完備し、ストレスなくインターネットを利用可能で、オンライン会議やリサーチ、資料作成に集中するゲストの姿も見られました。
モダンなデザインのデスクと快適なチェア、柔らかな照明が整ったこのエリアは、集中力を高める環境です。周囲は静かで落ち着いた雰囲気に包まれており、クリエイティブなアイデアを形にしたり、ゆったりと読書をするのに最適です。
長期滞在に便利な無料ランドリーエリア
長期滞在の利用者にとって嬉しいのが、ホテルが提供する無料のランドリーエリアです。
9時から21時まで利用可能で、洗濯機、乾燥機、洗剤、柔軟剤、アイロンが自由に使用できます。手軽に洗濯できるため、旅行中でも清潔な衣類をキープできるのが魅力です。
ダナンは一年を通して暑く、半日観光に出かけるだけでシャワーを浴びて着替えたくなる気候です。そのため、長期滞在の方だけでなく、短期旅行者にとっても自宅のような安心感を与えてくれるサービスです。
さらに、ランドリーエリアにはウォーターサーバーが設置されており、水道水を飲めないベトナムではありがたいサービスです。
体験後記
今回は、「Signature by M Village Danang Heritage(シグネチャ・バイ・エム・ビレッジ・ダナン・ヘリテージ)」での宿泊体験をレビューしました。
戦争や都市開発を経て、100年にわたり時代の変遷を静かに見守り続けた建築遺産に滞在するという貴重な体験は、特別な思い出となりました。
同ホテルは、ハノイやホーチミン、さらにダナンにも展開する「M Village(エム・ビレッジ)」の系列ホテルのひとつ。他の系列店と同様に、洗練された外観が目を引き、エントランスをくぐると落ち着いたトーンのインテリアが迎えてくれます。
今回スイートルームに宿泊しましたが、清潔さと静かさを重視する筆者にとって、とても満足のいく滞在となりました。シンプルながらも上品な絵画が飾られ、空間全体の美しさが際立つデザイン。
特に気に入ったのは、統一感のあるインテリアと家具の質の高さです。上質なソファやベッドは、滞在中のリラックスタイムをより快適なものにしてくれました。
この度は素晴らしい滞在をありがとうございました!