
バクマ国立公園(Vườn quốc gia Bạch Mã)は、トゥアティエンフエ省とクアンナム省の境界にあるハイヴァン峠に隣接しています。ベトナム中部の自然の多彩な魅力を体感できるスポットです。総面積は3万7400ヘクタールを超え、温暖な気候と豊かな生態系、そしてフランス植民地時代の歴史的遺構が融合する特別な場所です。
目次
フランス植民地時代に作られた高原リゾートの遺産
1932年、フランス人技師ジラール氏(M. Girard)がバクマを避暑地として開発することを提案しました。1942年には、本格的な山岳リゾートが標高1,200〜1,440mの高地に整備されました。
約139棟のヴィラ、市場、郵便局、全長19kmにおよぶ自動車道、滝、自然景観へ続くトレイルなどが整備され、バクマは「中部のサパ」と呼ばれるほどに栄えました。現在では建物の多くが風化していますが、花崗岩でできた石壁は当時の繁栄を今に伝えています。
ここにしかない自然美と豊かな生態系
バクマ国立公園は典型的な熱帯雨林気候に属し、2,100種以上の植物と約1,500種の動物が確認されています。なかには、サオラや沈香、擬ヒノキ(ぎひのき)などの絶滅危惧種も多く生息しています。
地形には高低差があり、標高の違いによって気温も変化します。年間の平均気温は約25℃、山頂では19℃前後と涼しく、一日の中で四季を感じられるほど多様な気候を体験できます。
バクマ国立公園の気候と訪れるベストシーズン
バクマ国立公園は熱帯モンスーン気候に属していますが、山頂では年間を通じて涼しい気温が保たれています。そのため、暑い季節でも快適に過ごせる避暑地として人気があります。ベストシーズンは、気候が安定する3月〜9月。トレッキングやキャンプ、自然観察や撮影にもぴったりの時期です。
見どころ・体験スポットを予習してバクマ国立公園を満喫しよう
バクマ山頂とHải Vọng Đài(ハイヴォン台)|最高の朝焼けを堪能
バクマの最高地点からは、ランコー湾、ハイヴァン峠、カインズオン海岸へと連なる山々を一望できます。ヴィラ・モラン(Morin)から約800m歩くと、鐘楼のあるハイヴォン台に到着します。ここから見る朝焼けは格別です!
Ngũ Hồ(ゴ ホー)| 森の中にある5つの天然湖
源流の小川が階段状に流れ落ちて形成された、5つの天然湖が連なっています。ヴィラ・キムザオから約1.5kmのトレッキングコースを歩いてアクセスできます。第4湖と第5湖では水遊びが可能ですが、岩場は滑りやすく水温も低いため、十分ご注意ください。
Thác Đỗ Quyên(ドー クエン滝)|花と水が織り成すシンフォニー
フエを流れる川の源流のひとつ、ドークエン滝は落差約400mを誇る壮大な滝です。春には周辺一帯に赤いツツジが咲き誇り、圧巻の風景が広がります。滝壺までは約700段の石段を下りる必要があり体力を使いますが、それだけの価値がある絶景です。さらに2024年には、滝を越えるジップラインが登場し、より気軽に冒険を楽しめるようになりました。
チョーデンの森|巨木と植物の楽園
宿泊エリアから約3kmのトレイルを進むと、樹齢数百年のチョーデン(黒木)林に到着します。そこには、樹高約30m、幹周り1mを超える巨木が並び、差し込む陽光と野鳥のさえずりが、幻想的な雰囲気を醸し出しています。
バードウォッチングと鳥の呼び名人
バクマ国立公園には約360種の鳥が生息しており、バードウォッチャーにはたまらないスポットです。ガロイラン、ホンホアン、トリサオなどの希少な鳥に出会えるチャンスもあります。
“鳥の声マスター”と称されるチュオン・カム氏のガイドでは、鳥の鳴き声を巧みに真似て、実際に鳥を呼び寄せるという貴重な体験ができます。
チュオイ湖とThiền viện Trúc Lâm(竹林禅院)
バクマ山の麓には、面積約400ヘクタールにおよぶチュオイ湖(Hồ Truồi)が広がっています。湖畔の高台には竹林禅院があり、湖と山を見渡す穏やかな景観の中で、心落ち着くひとときを過ごせます。ボートで湖を渡って訪れるのが一般的です。
バクマ国立公園での宿泊について
出典:https://dantri.com.vn/du-lich/
公園内の宿泊施設
山頂近くにあるヴィラ・ドークエン(Đỗ Quyên)は全7部屋(各部屋3名まで宿泊可)があり、料金は1人1泊50万vnd(約2,800円)。月曜~木曜は20%の割引が適用されます。
また、全9部屋のヴィラ・キムザオ(Kim Giao)も3名まで宿泊可能で、料金は1人1泊50万〜70万vnd(約2,800円〜約3,900円)。こちらも平日は割引があります。
グループでの訪問には、40〜50名まで対応可能な「トン・ナン・キャンプ場」がおすすめです。テント・寝袋・敷物付きで、1人1泊20万vnd(約1,100円)、学生は15万vnd(約830円)で利用できます。
アクセスと交通手段
バクマ国立公園は、フエ市内から約45〜55km、ダナン国際空港から約60km、フーバイ空港からは約35kmの距離にあります。
アクセス手段としては、タクシー、レンタカー、バイクなどの利用が便利です。なお、一部のバスは公園の麓までしか運行していないため、終点で車に乗り換える必要があります。
観光時の注意点と入場料金
バクマ国立公園では、標高差による気温の変化に備えておくことをおすすめします。軽量な防寒着や運動靴の準備が大切です。
また、虫よけスプレーや虫刺され用の薬も持参しましょう。
入場料は、大人が6万vnd(約330円)、子ども・学生・60歳以上の高齢者は2万vnd(約110円)です。
自然派にぴったり!バクマ国立公園は癒しと冒険の楽園
バクマ国立公園は、夏の暑さを避けたい人、静かな自然に癒されたい人、植物や動物に興味がある人、そして写真愛好家や登山好きの方まで、誰もが楽しめる特別な場所です。
四季折々の美しさに包まれたこの地で、あなたも自然の中で心安らぐひとときを過ごしてみませんか?