2025年4月に本格稼働を開始した、ホーチミン・タンソンニャット空港の新ターミナル「第3ターミナル(T3)」。清潔感あふれる広々とした館内と最新の設備によって、国内線の移動がこれまで以上に快適になりました。特に、ホーチミンからダナンへ向かう旅行者にとっては、この新ターミナルの導入が大きなメリットとなっています。
本記事では、そんな空港利用が初めての方に向けて、第3ターミナル(T3)に関する基本情報をできるだけわかりやすくご紹介します。国内線の利用方法をはじめ、ターミナル内の設備やラウンジ情報、お土産に関する最新の体験談まで、実際に現地を訪れて感じたポイントを交えて詳しくご紹介します。
目次
新ターミナルの第3ターミナル(T3)概要
年間2,000万人の旅客に対応する、ベトナム最大規模の国内線専用ターミナルとして注目を集めています。
新ターミナル「第3ターミナル(T3)」は5階建て、総床面積112,500平方メートル。投資額11兆VND(約605億円)をかけた大規模プロジェクト。清潔感あるモダンなデザイン、天井が高く開放感のある空間、混雑緩和を意識したゆとりある設計が特徴です。
ホーチミン→ダナンの国内線移動方法
ホーチミンからダナンへの国内線移動は、到着の仕方によって手順が異なります。
①ホーチミン滞在後にダナンへ移動するケース
まずは日本からホーチミンへ最初に到着し、数日ホーチミン市内を滞在した後、国内線でダナンへ移動するようなケースとなります(4泊5日ベトナム旅行のうち、前半2日ホーチミン、後半3日ダナン・ホイアン等のケース)。この場合、市内からタクシーで、新ターミナル「第3ターミナル(T3)」の出発階(3階)へ直接アクセス可能です。
第3ターミナル(T3)は、従来の第1・第2ターミナルからは離れていますが、市内からのアクセスには問題なく、ターミナルの入口までタクシーで直接向かえるため移動はスムーズです。
②日本からホーチミン乗り換えでダナンへ向かうケース
一方、日本からホーチミンを経由してそのままダナンへ乗り継ぐ場合は、流れが少し異なります。新しい第3ターミナル(T3)は、従来の第1ターミナル(T1)や第2ターミナル(T2)からやや離れた場所にあり、無料シャトルバスでの移動が必要です。
日本からの国際線は、第2ターミナル(T2)に到着しますが、ダナン行きの国内線は第3ターミナル(T3)から出発します。そのため、T2からT3へのターミナル間移動が必要となり、ここでは無料シャトルバスを利用します。
到着ロビーを出て左方向に約50メートル進むと、B柱付近にシャトルバスの待合ベンチがあります。バスは15分おきに発着しており、約5分で第3ターミナル(T3)に到着します。
チケットカウンター
第3ターミナルの出発ロビーは3階にあります。あとはそのままチケットカウンターへ進むだけです。
国内線でダナンへ向かう際、ベトナム航空やベトジェットエアを利用する場合は、基本的にこのT3を利用することになります。事前にチケットに記載されたターミナルを確認しておきましょう。
このフロアには、有人のチェックインカウンターが約90カ所、セルフチェックイン機が40台以上、さらに自動で荷物を預けられるセルフバゲージドロップも20台設置されています。
チェックインやチケットの手続きは、すべてこの3階で行います。空間も広々としており、以前の第1ターミナル(T1)と比べて、格段にストレスが軽減されました。出発ターミナルを事前に確認し、出発の2時間前には空港に到着するようにしましょう。
保安検査場へは、チェックイン後に列に並ぶだけ。動線が非常にシンプルなので、迷うことはほとんどありません。
列はどんどん進んでいきます。
顔認証技術の導入が予定されており、将来的にはパスポートや身分証の提示が簡素化され、待ち時間の短縮が期待されています。ただし、筆者が利用した時点では顔認証機はまだ稼働しておらず、係員による手動確認が行われていました。
この顔認証レーンの仕組みでは、ベトナム政府が提供する電子IDアプリ「VNeID」との連携が鍵となります。あらかじめアプリに顔写真や必要情報を登録しておくことで、空港では物理的な身分証や書類を提示することなく、顔をカメラに向けるだけで本人確認が行われる仕組みです。
実際に、4月16日と17日の試験運用では、多くの利用者がこのシステムを体験し、「書類の提示がいらず、スムーズに進めた」「接触が少なくて安心できる」といった前向きな声が聞かれました。今後正式に導入が進めば、保安検査の混雑緩和や待ち時間の短縮にも大きな効果が期待されています。
また、VNeIDはベトナム国民だけでなく、外国人でも登録が可能な仕組みになっているため、将来的には観光客や出張者もこの顔認証システムを利用できるようになると見られています。
参照元:VTIグループ, Vietnam.vn
荷物検査ゲート
次は荷物検査レーンに進みます。
保安検査レーンの数が十分に確保されており、ピークの時間帯でも長時間列に並ばされることが少なくなりました。
また、空港の内部設計も非常にわかりやすく、検査エリアまでの動線がシンプルに作られているため、迷う心配がほとんどありません。到着してからチェックインカウンター、そして保安検査場までがスムーズにつながっているため、どこに向かえばよいかすぐに把握できます。
手続きや検査時間自体は旧ターミナルとほとんど変わりませんでしたが、広くなった分、移動のために歩く距離が増えたと感じました。
搭乗ゲート
保安検査を抜けたら、搭乗ゲートへ。
通路は広く、途中にあるベンチや小さな売店でひと息つくことも可能です。
一部の搭乗ゲート付近には、子どもが遊べるプレイスペースがあり、家族連れにとって大きな安心ポイントとなっています。
飛行機まで直接ブリッジで搭乗できるため、旧ターミナルでのバス移動のようなストレスもなくなりました。
搭乗時間までゲートの近くで待ちます。
まだ新しいということもあり、現時点では第3ターミナル内の飲食店やお土産ショップの数は限られており、館内の商業施設全体としてはこれからの拡充に期待がかかります。新ターミナルとしての設備や快適さは十分に感じられる一方で、「買い物を楽しむ」や「食事をする」といった面では、やや物足りなさを感じるかもしれません。
ラウンジについて
フライトまで時間があるので、ラウンジに向かいます。エレベーターで上の階に上がります。
楽天プレミアムカードなどに付帯するPriority Pass(プライオリティパス)を持っている方であれば、第3ターミナル(T3)で利用できるラウンジが2つあります。
ラウンジへの案内表示があり、スムーズにラウンジを見つけることができました。今回はSHラウンジを訪れました。
パスポートと航空券、Priority Pass(プライオリティパス)を提示します。
広さこそそこまで大きくはないものの、ほどよく落ち着いた雰囲気が漂っており、喧騒から離れて静かに過ごすにはぴったりの空間でした。
照明も穏やかで、座席の間隔にも余裕があるため、短時間でもしっかりとリラックスできます。
ラウンジ内では、軽食やスナック、各種の飲み物が自由に楽しめます。
無料Wi-Fiも利用可能で、小腹を満たしつつ、スマートフォンやノートパソコンの充電もできました。
搭乗時間までのひとときは、ラウンジで観光の疲れを少し癒やします。ビールやコーヒー、ワインなどのドリンクも楽しめました。
旧ターミナルとの主な違い
以下の表では、旧ターミナルと新ターミナルの違いについてまとめています。※2025年7月時点
項目 | 旧ターミナル(T1) | 新ターミナル(T3) |
---|---|---|
位置 | T2(国際線)と隣接 | T1・T2からやや離れた南側 |
利用航空会社 | バンブー、バスコ、ベトラベル等 | ベトナム航空 ベトジェット(国内線主流) |
建物の規模 | 比較的コンパクト | 年間2,000万人対応の大規模 5階建 |
設備・内装 | シンプル | 近代的・清潔・天井高く開放感 |
チェックイン | カウンター数少なめ | 89カ所のカウンター セルフ機器も充実 |
混雑 | 慢性的な混雑 | 混雑緩和、広々とした空間 |
ターミナル間移動 | 徒歩や短距離移動 | 無料シャトルバスで15~20分 |
ラウンジ | 少なめ | Priority Pass対応ラウンジ2カ所 |
飲食・ショップ | 充実 | まだ少なめ、今後拡充予定 |
第3ターミナル(T3)からダナンへの移動体験まとめ
ホーチミン・タンソンニャット空港の第3ターミナル(T3)は、清潔感と快適さを重視して設計された新しい空間で、実際に利用してその違いを実感できるターミナルでした。広々としたロビーや最新の設備に加え、家族連れに配慮されたキッズスペースや、Priority Pass(プライオリティパス)で利用可能な落ち着いたラウンジなど、さまざまな旅行者にとって嬉しいポイントが揃っています。
保安検査や搭乗までの流れもスムーズで、国内線利用においてもストレスの少ない移動が可能になりました。
ホーチミン発のダナン行きなど国内線の旅も、この新ターミナルの基本情報をあらかじめ知っておくことで、よりスムーズで快適に移動できます。ベトナム国内を旅する際の参考になれば幸いです。