ベトナムの中秋節に食べる月餅とは?起源や文化について解説!

毎年、旧暦の8月15日になると、ベトナム人は中秋節を迎える準備を始めます。中秋節とは、ベトナムの文化において重要な伝統行事です。中秋節は子供たちのためのお祭りであるだけでなく、家族が一緒に集まり、喜びや親しみを分かち合う大切な機会でもあります。

中秋節に欠かせないシンボルの1つが月餅です。しかし、月餅の起源はどこにあるのでしょうか?月餅にはどのような意味があり、なぜベトナム人はこの時期に月餅を食べるのでしょうか?本記事では、この伝統的な月餅についてご紹介します。

月餅の起源と発展

中国における月餅の起源

月餅は古くから存在し、その起源は中国にあるとされています。ある有名な伝説によれば、元朝の末期(1271年~1368年)に、中国の民衆は丸い形の月餅を使って農民の反乱に関する情報を伝達しました。反乱の日時や場所を書いた秘密の紙が月餅の中に隠され、広く配布されたことで、反乱の成功に大きく貢献しました。それ以来、月餅は団結と希望のシンボルとなりました。

ベトナムへの伝来と変容

中国からベトナムに伝わった月餅は、次第にベトナムの伝統的な食文化の中で欠かせない存在となりました。ベトナムに伝来した後、月餅はベトナム人の味覚や文化に合わせて変化し、焼き餅と蒸し餅の二種類が一般的になりました。焼き餅はカリッとした外皮と、緑豆、蓮の実、ソーセージ、塩漬け卵などの多様な餡が特徴です。一方、蒸し餅は柔らかい餅皮に包まれた、甘く優しい味わいの餡が魅力です。

ベトナム文化における月餅の意味

団結の象徴

月餅の円形は、完全性、満足感、そして団結を象徴しています。中秋節になると、家族が集まり、月餅を食べながら満月を眺めます。この時期は、忙しい日々を忘れ、家族との時間を大切にし、喜びを分かち合う大切な時間です。

感謝や幸福を表す贈り物

月餅は単なる食べ物ではなく、感謝の気持ちや関心、そして贈り主と受け取る人の間の絆を表現するための贈り物でもあります。ベトナム人は月餅を贈り合うことで、感謝や幸福を願います。精巧に飾られた美しい箱に詰められた月餅は、中秋節の際に人気のある贈り物となっています。

ベトナムの月餅にまつわる伝説と物語

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ベトナムの伝説によれば、月の女神である嫦娥(じょうが)は子供たちを愛し、彼らと一緒に地上で遊びたいと願っていました。しかし、天界の規則により、彼女は自由にこの願いを叶えることができませんでした。ある日、旧暦8月15日に玉皇大帝が月餅作りのコンテストを開催し、優勝者には1つの願いが叶えられるということになりました。嫦娥は地上に降りるために、このコンテストに参加することを決めました。

アイデアを探している途中で、嫦娥は料理の得意なクエイ(Cuội)という男性に出会います。クエイの助けを借りて、嫦娥は卵、蓮の実、肉、ソーセージなどさまざまな材料を組み合わせた新しい種類の月餅を作り、見事にコンテストで優勝します。玉皇大帝はこの月餅に「月餅」という名を与えました。嫦娥の願いにより、毎年旧暦8月15日には、彼女とクエイが地上に降りて子供たちに喜びをもたらすことができるようになりました。それ以来、この日が中秋節として祝われ、子供たちのための楽しい祭りとなったのです。

ベトナムにおける中秋節は子供のためのお祭り

出典:https://banhtrungthugivral.net/

中秋節は、「子供の日」や「満月の祭り」とも呼ばれ、ベトナムで愛される伝統的な祝祭の1つです。旧暦8月15日に開催されるこのお祭りは、満月が1年で最も丸く明るい時期にあたります。中秋節は家族の再会の機会であるだけでなく、子供たちのための特別な日でもあります。

子供たちの喜び

中秋節は、長い間ベトナムで子供たちの日とされてきました。この日は、子供たちが伝統的な活動に参加し、家族や地域の人々と一緒に楽しむ機会です。この祝祭には、提灯の行列や中秋のお菓子を楽しむこと、獅子舞など、特別な活動が盛りだくさんで、賑やかで楽しい雰囲気を感じられます。

提灯行列

中秋節に欠かせない伝統的な活動の1つが提灯行列です。子供たちは星型、鯉の形、回転提灯など、さまざまな形の提灯を持って行列を歩きます。夜になると、子供たちは提灯を持って町中を行進しながら、中秋の楽しい歌を歌い、華やかでカラフルな光景を作り出します。

中秋の宴

提灯行列の後、家族で集まって中秋の宴を囲みます。中秋の宴には、月餅やさまざまな果物、お菓子、そしてお茶が並べられます。家族が集まっておしゃべりを楽しみ、温かい団らんのひとときを過ごします。

獅子舞

獅子舞も、中秋節に欠かせません。獅子舞の団体は町中を回って演技を披露し、賑やかで楽しい雰囲気を作り出します。子供たちは獅子舞を見ながら、特に獅子が近づいて挨拶をする瞬間を楽しみにしています。

 中秋節のパフォーマンス鑑賞

この時期には、多くの場所で子供たち向けの劇や、歌や踊りのパフォーマンスが開催されます。子供たちは家族や友達と一緒にこれらのプログラムを見に行き、楽しい思い出を作ることができます。

月餅にはどんな種類がある?

焼き餅

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焼き餅は、ベトナムで最も愛されている伝統的な月餅です。外皮は小麦粉から作られ、焼くと金色に輝き、特有の香りが漂います。焼き餅の餡は様々で、緑豆、蓮の実、ミックス、塩漬け卵から、抹茶、ドリアン、チーズなどの現代的な餡まで、さまざまな種類があります。焼き餅は濃厚な味わいで、食べごたえがあります。

蒸し餅

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蒸し餅もまた伝統的な月餅の一種で、餅粉から作られた柔らかく滑らかな外皮が特徴です。蒸し餅の餡は通常、緑豆、蓮の実、または他の優しい甘さの餡が使われます。蒸し餅は焼かずに蒸すだけで、材料の自然な風味を保っています。蒸し餅は、軽やかで純粋な甘さを好む人に人気です。

現代的な月餅

出典:https://www.noron.vn/

伝統的な月餅に加えて、近年ではティラミスやチョコレート、モチなど、新しい風味を取り入れた現代的な月餅も登場しています。これらの月餅は、風味の多様性だけでなく、珍しい形や色彩で、特に若者に人気があります。

なぜベトナム人は月餅を食べるのか?

シンボルとしての意味と文化的な価値

中秋節に月餅を食べるのは、単なる習慣ではなく、文化的な伝統の一部です。月餅には、完全性や団結、そして幸福の象徴が込められています。ベトナムの人々が月餅を味わうとき、その甘さを楽しむだけでなく、家族の絆や親しみ、そして再会の喜びも感じることができるのです。

中秋節に欠かせない食べ物

月餅は、ベトナムの家庭で中秋節のお祝いに欠かせない存在です。さまざまな種類の月餅がある中でも、その特別な地位は変わらず、他にはない大切なものとなっています。これは、子どもの頃の思い出や、中秋の夜に提灯を持って楽しんだ宴など、多くの思い出と結びついているからです。

月餅はベトナムの伝統を象徴する食べ物

月餅は、中秋節における特別な食べ物であるだけでなく、団結や幸福、そして家族の絆の象徴でもあります。それぞれの月餅を通じて、ベトナム人は感謝の気持ちや思いやり、そして家族の絆を表現します。月餅の歴史的な起源から文化的な意味まで、月餅はベトナムの食文化と生活の中で欠かせない存在となっています。中秋節は、ベトナムの伝統を感じ取り、大切にし、月餅を楽しみながら、再会の喜びや温かさを広める時期です。

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