ホーチミン・ハノイ・ダナンとたくさんの人気都市を持つベトナム。一度の旅行でたくさんの都市を回りたい方も多くいらっしゃると思います。そこで気になるのはベトナム国内での移動方法。今回はベトナム鉄道について詳しくご紹介します。
実は日本ほど鉄道での移動はメジャーではないベトナムですが、主要都市を結ぶ路線は開通しています。こちらの記事ではチケットの購入方法や主な価格、さらに座席に関してなど分かりやすく解説していますので、ベトナム旅行を控えている方はぜひご参照ください。
目次
ベトナム国内で初めての鉄道「ベトナム鉄道」は最も古い産業
2024年現在、日本のように幅広い鉄道網を持たないベトナム。基本的な移動はバイク、車やタクシーが一般的となっています。そんなベトナムで運行しているベトナム鉄道は、1881年にサイゴンからミトーまでの約70kmの鉄道路線を初めて建設したことから誕生した最も古い産業の一つです。
最初の列車は1885年7月20日に運行を開始。その後数年間、フランスの鉄道技術に基づいてベトナム全土に鉄道網が拡張されていきました。鉄道システムは戦時中大きな被害を受けましたが、1986年から政府は主要な鉄道路線・駅・南北鉄道の復旧に努めています。
しかし、依然として鉄道での移動はあまり浸透しておらず、長距離移動には夜行特急・飛行機・車が主流となっています。また、近距離の移動にはバイクや自動車が最もポピュラーです。
ベトナム鉄道メインルートについて
続いて、ベトナムの鉄道路線図をご紹介しています。この路線図を活用すると、ベトナムの主要な鉄道路線を簡単に把握することが可能です。最適な旅行ルートも簡単に探し出すことができますよ。
現在、ベトナムに走る鉄道の総延長は約4,161kmで、そのうち幹線（主要路線を結ぶ主要路線）は2,000km以上に及びます。この鉄道網は国道1Aに沿って展開していて、主に住宅地や文化センターを結んでいます。北部・中部・南部にある主な鉄道路線は以下の通りです。
ハノイ発
ハノイ～サイゴン（ホーチミン）：SE1・SE3・SE5・SE7・TN1
ハノイ〜ダナン：SE19
ハノイ〜ヴィン市（ハティン省）〜ドンホイ（クアンビン省）〜フエ：NA1・VD31・DH41
ハノイ〜ラオカイ：SP1・SP3・LC1・LC3・YB1
ハノイ〜ハイフォン：HP1・LP3・LP5・LP7
ハノイ〜タイグエン：QT91
ハノイ〜ドン・ダイン：DD3
ハノイ〜ハロン：R167
サイゴン発
サイゴン〜フエ：SE21
サイゴン〜クィニョン（ビンディン省）：SE25
サイゴン〜ニャチャン〜トゥホア（フーエン省）：SNT1・N11
サイゴン〜ファン ティエットSPT1・PT3
ダナン発
ダナン～フエ：SE1・SE3・SE5・SE7・TN1・HĐ1・HĐ2・HĐ3・HĐ4
鉄道チケットを購入する方法について
駅で直接チケットを購入する
鉄道チケットの購入方法は主に3通りあり、駅の窓口・ウェブサイト・旅行会社経由で購入可能となっています。多くの観光客は駅の窓口で購入する方法を選択していて、サイゴン駅などの大きな駅では英語を話せるスタッフがいる場合もあるのでスムーズに購入できます。また、窓口では現金払いのみ可能で、名前・パスポート番号・乗車駅・降車駅・乗車日・時間などを伝えられるようにしておくと安心です。
クレジットカード決済がしたい方は公式ウェブサイトからのオンラインチケットの購入も可能です。 駅の窓口で直接購入する必要がないので、よりスマートに旅を楽しむことができます。ただし、一部翻訳されない部分があったりと少々分かりにくい部分がありますのでご注意下さい。
また初めての海外旅行や自分で手配することが不安な方は、代理店や利用している旅行会社などを経由し予め購入しておくと安心です。クレジットカード決済ができる場合が多く、現地でのトラブルを極力避けたい方にとってもおすすめの方法となります。
電子ウォレットMoMo Wallet（モモ ウォレット）で購入する
MoMo Wallet（モモ ウォレット）はベトナムで人気の電子ウォレットです。 モモ ウォレットのトラベル機能を利用すれば鉄道チケットを直接予約することができます。 出発地・目的地・時刻を入力するだけで、希望に近い時間枠と列車を簡単に選択可能です。
また、モモ ウォレットにはベトナム国鉄のWebサイトと同様に車両と座席クラスを直感的に選択できるインターフェイスで統合されているので、リーズナブルなオンラインチケットの予約をより簡単に行うことができます。
座席クラスについて
鉄道旅行で最初に注意すべきことは、適切なタイプの座席を選択することです。ベトナムの列車には通常、ハードシート（木製）・ソフトシート・ベッドクラスの3つのクラスの座席があります。それぞれ価格が変わりますので、ニーズと予算に合わせて快適に過ごせるクラスを選択しましょう。
ハードシート｜安価に済ませたいならこのクラス
ハードシートは日本ではあまり見ない木製の座席です。ハードシート(NC)と空調ハードシート(NCL)の2種類があります。木製なので座り心地は硬めですが、他のクラスに比べて最も安い価格が魅力。短距離の場合や移動にお金はかけたくない方におすすめです。
価格が安いこともあり乗客数は比較的多め。そのため身の回り品の管理はしっかり行いましょう。また家族旅行での利用の場合は、ご高齢の方やお子様の体調的に大丈夫かどうか要検討です。トラベル用の折り畳みクッションなどがあると安心です。
ソフトシート｜最も選ばれているポピュラーなクラス
見慣れた柔らかいシートで、最も選ばれているクラスです。ソフトシート（NM）とエアコン付きソフトシート（NML）の2種類があります。ハードシートに比べて価格はやや張りますが、シートは15度程度に調節可能で座り心地は日本の電車のような座席となっています。
日帰りの場合や中距離の移動に向いていて、腰を傷める可能性も少ないのでほとんどの方におすすめできるクラスです。ただし、1日以上かかる移動の場合、ソフトシートは背もたれを完全に倒すことができないため要注意です。
ベッドクラス｜1日以上かかる長距離移動ならこちら
寝台列車となるベッドクラスは、6人用キャビン（BNL）・4人用キャビン（ANL）の2種類から選べます。二段ベッド・三段ベッドのスタイルとなっていて、各ベッドの長さ約190cmほどあり大人が快適に横になるのに十分なサイズ。また、ベッドには毛布・枕・柔らかいマットレスが完備されているので、快適な移動時間を過ごすことができます。
また、4～6人の友人グループや大家族の旅行で利用の際はプライベートスペースにもなるので周囲を気にせず気楽に過ごすことができるのも大きな魅力です。そのためサイゴン～フエやサイゴン～ハノイなどの長距離路線にもぴったりです。
デメリットはすべての座席クラスの中で価格は最も高く、繁忙期には航空券（ベトナム全土の長距離路線）とほぼ同じ程度まで上がる点。また、2段・3段ベッド形式なので頭上には注意しましょう。長距離を鉄道で旅したい方や、費用に余裕のある方におすすめのクラスです。
それぞれの詳しい価格は下記の表をご参照下さい。
| 座席クラス | 5時間未満 | 15時間未満 | 25時間未満 | 25時間以上 |
| ハードシート | 6万vnd～ | 16万vnd～ | 42万vnd～ | 58万vnd～ |
| ソフトシート | 9万vnd～ | 25万vnd～ | 61万vnd～ | 85万vnd～ |
| ベッドクラス | 販売なし | 72万vnd～ | 90万vnd～ |
利用前に知っておきたい！ベトナム鉄道のトイレ事情
ベトナム鉄道のトイレ（列車の会社や種類によって異なります）は比較的綺麗で、適度な清潔感が保たれています。中でも価格帯の高い列車にある客室トイレは特にきれいで、乗客のニーズに応える専用トイレが設置されている場合もあります。
お手頃な料金の列車では、最低限の清潔感はありますが使用人数が多いこともあり臭いなどの問題は否めません。また、トイレは小型モデルが中心でコンパクトに設計されているため多少不便に感じる場合もありますが、使用に際して問題はありませんのでご安心ください。
また、トイレットペーパーが無い（又は足りない）ケースがあります。不測の事態に備えてトイレットペーパーを持っていくと、不安なく鉄道旅を楽しむことができますのでお忘れなく。
【フエ〜ダナン間の運行もスタート！】ベトナム鉄道の最新情報
進化を続けるベトナム鉄道は、2024年新たな路線や列車の運行を開始しています。2024年3月26日から、北中部地方フエ～南中部沿岸地方ダナン間の運行がスタート。フエ発はHD1で、所要時間は約2時間50分ほど。またダナン発のHD2は、2時間45分ほどでフエに到着します。その間に通るLang Co（ランコー）駅では10分間停車するので、美しい絶景を眺めることもできます。
さらにホーチミン～ダナン間を運行しているハイクラス列車のSE19・SE20に続き、2024年4月27日にはハノイ～ダナン間もハイクラス列車SE21・SE22が運行を開始しました。美しい内装はもちろん、乗客がコントロールできる空調システム・LEDモニター・フリーWi-Fiが設置されています。
また寝台列車ではそれぞれの読書灯とUSBポートが完備され、良質なマットレス・ブランケット・枕、シーツ・カーテンなどが全て新しいものに変えられました。さらに快適になった列車旅をぜひご体感ください。
ベトナム鉄道を上手く使いこなしてディープな旅を楽しもう
ベトナム旅行というと移動はタクシーや飛行機がメジャーですが、鉄道もどんどん進化しています。陸路で進むからこそ楽しめる長閑な景色やリアルなベトナムの雰囲気は鉄道旅ならでは。時間は多少かかりますが、ハードシートやソフトシートなら安価での移動が叶うので少しでも安く押さえたい方はぜひ一度チェックしてみてください。
また、ホーチミンやハノイだけでなくフエからもダナンに続く路線の運行が開始されました。ハイクラス列車も通るなどますます注目を集めるダナンはベトナム旅行で押さえておきたい都市のひとつ。ベトナム鉄道を使いこなして旬なベトナムをお楽しみ下さい。
