【2024】テトや祝日に知っておきたい!ベトナム国旗の秘密:赤と黄色が語る歴史と文化の物語

2色のカラーが印象的なベトナム国旗は、国家を象徴する以上に多くの意味を持っています。赤い背景の上に輝く黄色い星は、「ベトナム」の歴史・文化、そして人々の精神を表しているのです。

今回の記事では、戦争・平和・統一と自由の闘いの中で作られらた国民の誇りと希望のシンボルであるベトナム国旗の魅力的なデザインと、その背後にある激動の歴史、そして国旗が象徴している意味について深く掘り下げていきます。この美しい国旗の物語を一緒に紐解いていきましょう。

 ベトナム国旗の基本情報

引用:Wikipedia

赤と黄色が深い意味を持つデザイン

ベトナムの国旗、「金星紅旗(きんせいこうき・Cờ đỏ sao vàng)」は、2:3の比率の長方形で、赤い背景の中央に黄色い「五芒星(ごぼうせい)」が配置されています。

この国旗はもともと「ベトナム民主共和国」の国旗で、1940年に初めて登場しました。ベトナム戦争が終わり2つの地域が統一された後、1976年にこのデザインが公式に採用されました。この赤と黄色の色彩にはそれぞれ特別な意味が込められています。次章にて解説します。

赤色と黄色が持つ意味

 赤:社会主義と独立の闘いの象徴


ベトナム国旗の赤には2つの意味があります。1つ目は【社会主義の象徴】です。1791年のフランス革命時代、赤い旗が社会主義のシンボルとなった背景に基づいています。2つ目の意味は、【ベトナムの独立と自由を求める戦いで流された血の象徴】です。長い歴史の中でも特に、「フランス」や「アメリカ」との激しい戦争中に失われた多くの命を表現しています。

黄色:革命と階層の団結を象徴


旗の中央にある黄色い「五芒星」は【革命】を象徴し、その5つの先端はそれぞれ「知識人」「農民」「工員」「商人」「兵士」を代表しています。ホー・チ・ミン氏はこれらの階層の団結を願い、星のデザインを採用しました。

ベトナム国旗の歴史と各時代の国旗変遷

1945年の独立宣言以降、「ベトナム」は「フランス」の植民地支配と「アメリカ」の帝国主義戦争に直面しました。この複雑な歴史に数々の出来事が絡み、同時に国旗も変遷しました。抵抗と団結の象徴となるベトナム国旗は、社会主義の理念と独立への闘志を映し出しています。

1945年〜1955年 「ベトナム民主共和国」初代の国旗

引用:Wikipedia

「ベトナム」が「フランス」の植民地支配から独立するために初めての国旗が作られました。「ベトナム民主共和国」の初代の国旗は【独立運動の象徴】として使用されました。現在の国旗と星の形が異なります。

1955年〜1976年 2つの国旗


この時代、ベトナムは南北に分断されました。この時、「ベトナム民主共和国(北ベトナム)」と「ベトナム共和国(南ベトナム)」はそれぞれ異なる国旗を使用しました。

「ベトナム民主共和国(北ベトナム)」の国旗

引用:Wikipedia

南北分断後「北ベトナム」では、初代の国旗を修正し2代目の国旗が採用されました。初代国旗の「五芒星」に比べて、2代目の国旗ではよりシャープで洗練された「五芒星」に修正されました。

この修正は「北ベトナム」が象徴的な国旗を進化させる中で行われ、国のアイデンティティをより鮮明に表現するための変更であったとされています。

「ベトナム共和国(南ベトナム)」の国旗

「アメリカ」の支援を受けて建国された「南ベトナム」の国旗は、黄色の背景に赤い横線が3本入ったもので、「ベトナム」の歴史と地域の区分を象徴しています。黄色は古くからベトナム民族の象徴色とされ、3本の赤い横線は「ベトナム」の北部・中部・南部を表しています。このデザインは「南ベトナム」の独自性と地域の結びつきを強調するために採用されました。

注意点:「アメリカ」がベトナム戦争で敗北した後、南ベトナム政権の公務員は米国に保護され米国に移住しました。その結果、現在でも旧政権の残党が存在し「ベトナム社会主義共和国政府(現政権)」に対して反動的な思想を抱いているため、前述の国旗シンボルは禁止されています。

1965年〜1975年 「南ベトナム解放民族戦線(ベトコン)」の旗

引用:Wikipedia

この旗は1965年のベトナム戦争で「アメリカ」の支配から「ベトナム共和国」を含む南側地域を解放するために使用されました。国旗の赤い上部は「ベトナム民主共和国」を象徴し、青い下部は「ベトナム共和国」を指しています。

「ベトナム民主共和国」は「南ベトナム解放民族戦線(ベトコン)」を結成し、この旗を掲げて戦いました。ベトナム戦争は10年にわたりましたが、1975年にベトコンの攻撃によりアメリカ軍が撤退し、「ベトナム民主共和国」が勝利を収めました。

1976年〜 現在のベトナム国旗

引用:Wikipedia

南北ベトナムが統一され「ベトナム社会主義共和国」が成立した際、現在の国旗が採用されました。この国旗は「北ベトナム」の2代目国旗を引き継ぎつつ、南北の統一を象徴しています。

国民の誇りと統一の象徴そして祝日における国旗掲揚の習慣

出典:https://baoquangninh.vn/ruc-ro-sac-co-hoa-chao-mung-60-nam-ngay-thanh-lap-tinh-quang-ninh-3265133.html

「ベトナム」では、旧正月(1〜2月)・南部解放記念日(4〜5月)・国立記念日(9月)などの祝日に国旗の掲揚(けいよう)が義務付けられています。これは一般市民にも適用され、祝日には国旗を掲げる家が多く見られます。この習慣は「ベトナム」の愛国心と独立への誇りを象徴しています。

外部編 共産党旗について

出典:https://baoquangninh.vn/ruc-ro-sac-co-hoa-chao-mung-60-nam-ngay-thanh-lap-tinh-quang-ninh-3265133.html


ベトナム国旗である「金星紅旗」と共に、ベトナム国旗とよく似た黄色いハンマーと鎌の形をした赤い旗がよく見られますが、この旗は「共産党旗(Cờ Đảng)」と呼ばれるものです。「ベトナム共産党」の旗であり、共産党はベトナムで唯一の合法政党であり、憲法に基づいて活動することが許可されています。

旗の中央にはハンマーと鎌のシンボルが描かれています。鎌=「農民」・ハンマー=「工員」を象徴しており、国家独立のための勝利に貢献した2つの階級を象徴しています。

このシンボルはベトナム国民の英雄的な国民精神を象徴していて、国旗は常に道路や行政の建物に掲げられています。また「ベトナム共産党」の党旗は国内で広く認識されていて、党のアイデンティティと理念も表しています。

ベトナム国旗には国の歴史と願いが込められている

ベトナム国旗は、その色彩とデザインに深い歴史的意味と国民の団結・自由への願いが込められています。国旗の変遷はベトナムの歴史そのものを反映しており、国民の生活に密接に関わっています。ベトナム国旗を見るたびに、その豊かな歴史と文化を思い起こすことができるでしょう。

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