【世界遺産の街】古都・フエの滞在に欠かせない情報とおすすめ観光スポット

世界遺産の街として知られるベトナム中部の都市「フエ(Huế)」。古都・フエの歴史は古く、ベトナム最後の王朝・グエン朝(阮朝)の都としても大いに栄えました。グエン朝の王宮やグエン朝歴代の皇帝の陵墓などが世界遺産に登録されています。

現在(2023年)のフエの人口は約30万人と中規模の都市といったところ。ダナンやホイアンから車で数時間の距離ですが、活気のある両都市とはうって変わって穏やかな、ゆったりとした空気が流れています。観光の見どころも多く、ダナン・ホイアンとはまた違った楽しみ方ができるのも魅力の一つです。ベトナム中部へ訪れた際には、フエにも立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

ベトナム最後の王朝の都として栄えたフエを満喫

フエは、1802年から1945年にかけて存在したベトナム最後の王朝グエン朝の首都でした。グエン朝に関係する建築物は世界遺産に指定されているものも多く、観光地として人気の都市です。今回は、フエの観光と滞在に必要な情報をご紹介します。日本とはルールもマナーも異なる点が多くありますが、ポイントを押さえておけばより快適にフエを楽しむことができますよ。

これだけ押さえればOK!フエの基本情報

フエへのアクセス

日本からフエのフーバイ空港への直行便はありません。(2023年2月現在)

ベトナム各地からフエへのアクセスはこのようになっています。


都市名 移動手段 所要時間
ホーチミンから 飛行機 約1時間30分
ハノイから 飛行機 約1時間15分
ダナンから 列車 約2時間45分
ダナンから バス 約2時間

フエのフーバイ空港からフエ市内まではバスで約30分。ベトナムの中部という土地柄、ベトナムのどの都市からもアクセスが良く、便利です。
またダナン-フエ間の列車ではハイヴァン峠を超える際に、車窓から海と山の美しい景色を見ることができます。ダナンからフエへ行く際には進行方向の右手側、フエからダナンへ行く際には進行方向の左側の席を取るようにしましょう。


気候

ベトナムは熱帯モンスーン気候に属していますが、南北に長い国土を持っているため、ハノイなどの北部、フエなどの中部、ホーチミンなどの南部でそれぞれ気候がかなり異なります。中部のフエは年間を通して温暖で、ベトナムの中でも過ごしやすい気候です。暑さのピークは7月頃で平均最高気温が35℃ほどになる一方、1年で最も寒くなる1月頃は平均最低気温は18℃ほど。また雨期があり、9月頃から1月頃にかけては激しいスコールが降ることもあります。日本の梅雨と違い、短時間で一気に降ってすぐに止むこともあるのが特徴です。


ビザ(査証)

パスポートが海外での身分証明書だとしたら、ビザは入国許可証にあたります。日本のパスポートを持っている方は、ベトナムでの滞在が15日以内であればビザの取得が免除されます。ただし、ベトナム入国時にパスポートの残存有効期間が6ヶ月以上あり、出国のための航空券か、第三国へのバスなどの移動チケットを持っていることが条件です。ビザの要件は変更になる可能性があるため、渡航前に駐日ベトナム大使館のウェブサイトで確認しておくといいでしょう。


通貨

ベトナムドン(VND)が使われています。為替レートは1ドン=0.0057 円(2023年2月現在)。紙幣の種類は100ドンから50万ドンの12種類です。紙幣にゼロが非常に多いため、おつりの数え間違いなどに要注意。米ドルも一部の観光地で流通はしていますが、日本円からわざわざ米ドルに両替する必要はありません。


物価

ベトナムの物価は日本と比べるとだいぶ安く感じることでしょう。大まかな物価の目安は日本の2分の1から3分の1ほど。日本円へ換算する際の計算方法は、ドンの値段からゼロを2つ取って2で割ると、おおよその金額を割り出せます。レートが1ドン=0.0057 円なので、10000ドンなら57円ですね。


両替

両替はフエ市内の銀行で行えます。日本円からも両替ができるほか、VisaCardやMasterCard、JCB、AmericanExpressなどのクレジットカードでキャッシングも利用できます。一部のATMでも海外キャッシングが利用できますが、事前に「海外キャッシング枠」を設定している必要があるので、ご利用のカード会社に問い合わせてみるといいでしょう。


言語

共用語はベトナム語。ホテルや観光施設など外国人相手が多いところでは、だいたい英語が通じます。英語が通じない場面ではGoogle翻訳などの翻訳アプリが便利。アプリによっては文字入力だけでなく、音声入力、カメラ入力など様々な翻訳手段が用意されています。アプリではなくブラウザで利用できるサービスも多いので、ブックマークしておいて損はないでしょう。


宗教

ベトナムの人口の約15%が仏教徒という仏教国です。それに、約10%がキリスト教で、その他にイスラム教、カオダイ教、ホアハオ教、ヒンドゥー教などが信仰されています。

儒教文化も根付いており、バスなどではお年寄りに必ず席を譲るのがマナーとされています。同じ仏教国の日本とは違ってベトナム人の仏教への信仰心は強く、寺院などの宗教施設に入るときは、露出の多い格好だと入場を拒否されることも。ですがそれ以外では、基本的には日本とほぼ同じように過ごすことができます。

世界遺産の街・フエの楽しみ方

フエの観光のベストシーズンは乾季の3月頃から8月頃です。ビーチで海水浴を楽しむなら5月頃から8月頃がおすすめ。フエの有名なビーチは「フアンアン・ビーチ(Thuan An Beach)」「ヴィンタン・ビーチ(Vinh Thanh Beach)」など。ビーチへは車で40〜50分ほどかかるので、ホテルからタクシーなどで行くことをおすすめします。

フエ観光で最も人気なのは、市内に点在する世界遺産です。とても見ごたえがあり、これらを目当てに多くの観光客がフエを訪れていますが、それでもどこかのんびりとした雰囲気がただよっています。市内はシクロという自転車タクシーで移動することも可能。普通のタクシーより値段が高めですが、ゆったりと移動しながら街の風景を見るのも楽しいひと時です。

※観光スポット名は「日本語名(英語名またはベトナム語名)」で表記しています。

フエのおすすめ観光スポット

世界遺産を中心にフエのおすすめの観光スポットをご紹介します。どれもフエでは必見の魅力的なスポットです。仏教国・ベトナムの観光の注意点として、グエン朝王宮や寺院ではノースリーブや膝上丈のショートパンツ・ミニスカートは着用禁止となっています。入場を断られる可能性もあるので、男女ともに露出を避けた服装を心がけるようにしましょう。

壮麗な朱色の回廊が見どころ!グエン朝王宮

「グエン朝王宮(Imperial Enclosure)」は19世紀に政権を握ったベトナム最後の王朝の王宮で、中国の紫禁城をモデルにしたと言われています。王宮そのものが世界遺産に認定されており、敷地内には王宮門、タイホア殿、ロイヤル・シアターなど見どころがたくさん。また、ユネスコの無形文化遺産に認定されている宮廷雅楽を観賞することもでき、ベトナムの歴史と文化を肌で感じることができます。

歴代皇帝の陵墓や世界遺産の国立公園など見どころがたくさん

王宮以外で世界遺産に認定されているのは、グエン朝歴代皇帝の7つの帝廟とフォンニャ・ケバン国立公園です。7つの帝廟のうち、特に見ごたえがあるのがミンマン帝廟、トゥドゥック帝廟、カイディン帝廟の3つ。

  • 「ミンマン帝廟(Tomb of Minh Mang)」は中国風の荘厳な造り
  • 「トゥドゥック帝廟(Tomb of Tu Duc)」は別荘風ののどかな風景
  • 「カイディン帝廟(Tomb of Khai Dinh)」は西洋の建築様式を取り入れた壮麗な美しさ

というように、各皇帝ごとの価値観が表れています。

「フォンニャ・ケバン国立公園(Phong Nha-Ke Bang National Park)」は広大な敷地に約300の鍾乳洞があり、

  • 「フォンニャ洞窟(Phong Nha Cave)」…地底湖のような内部をボートで移動
  • 「ティエンドゥーン洞窟(Paradise Cave)」…天国の洞窟ともいわれる美しい光景

などが特に有名です。

ベトナム戦争時の「非武装地帯・DMZ(Demilitarized Zone)」周辺では軍事基地跡などの激戦地跡を巡るツアーも密かに人気。

以上の観光スポットはどれもフエ郊外にありますが、現地ツアーなどが多く組まれていて簡単に行くことができます。フエ市内には「アンディン宮(An Dinh Palace / Cung An Định)」というカイディン帝の離宮として建てられたフランス風の見事な宮殿も。

フエには見どころがとても多くあり、どれもベトナムとフエの魅力を存分に感じることができます。滞在日を多めに取って、フエを満喫してみてはいかがでしょうか。

宮廷文化が彩るフエの魅力

グエン朝の都として栄えたフエでは宮廷文化が花開き、今でも宮廷料理や宮廷芸能の雅楽・ニャーニャックを楽しむことができます。ベトナム・中国・フランスの文化が交じり合い、宮廷文化として洗練された独自の文化はフエの大きな魅力の一つです。

この文化がどのようにして発展してきたのか、そして宮廷文化の中の一つである宮廷料理を知れば、よりフエが魅力的に映ることでしょう。フエの歴史と宮廷料理をご紹介します。

中国・フランスの文化をとりいれたグエン朝

フエの歴史はとても古く、ヴァンラン・アウラック時代(Van Lang – Au Lac) (元前2879〜紀元前258)から当時のベトナムの領域にあるとされました。2世紀から4世紀まで、フエはチャンパ国(2世紀〜19世紀)の領域でしたが、その後、大越国(当時のベトナム)の領域になって、栄えた時期開始は1802年に初代皇帝・ザーロン帝がグエン朝を開き、フエを首都に制定とのイベントでした。

1805年、ザーロン帝はルイ14世に仕えたフランスの軍人で建築家でもあったヴォーバンが築いたヴォーバン様式を取り入れ、王宮を建築します。グエン朝王宮はキン・タイン(京城)、ホアン・タイン(皇城)およびトゥ・カム・タイン(紫禁城)という3部分で構成されました。建築様式は中国の文化を取り入れ、ベトナム文化との見事な調和を見せる建築物が数多く残っています。

グエン朝がフランスの保護国となった後に帝位についたカイディン帝は西洋の影響を強く受けました。カイディン帝は既存の価値観にとらわれない人物であったようで、自身の陵墓であるカイディン帝陵は西洋とアジアの様々な文化が見事に調和した壮麗な造りになっています。

フエのグルメは宮廷料理!

グエン朝の首都として宮廷文化が根付いたフエでは宮廷料理も発達し、現在でも様々なお店で食べることができます。繊細で技巧を凝らした宮廷料理は味はもちろん、見た目でも楽しめるフエの名物グルメの一つとなっています。

宮廷料理で人気なのは、

  • 「チャーフオン(Chả Phượng)」…肉や魚のペーストをパイ生地で包んで焼いたパテで鳳凰を象ったもの
  • 「コム・セン(Cơm Sen)」…お米と蓮の実を蒸して蓮の花で飾りつけたチャーハン風のご飯

など。歴代皇帝も味わったであろう逸品をぜひご賞味あれ。

そして、フエの料理は宮廷料理だけではありません。庶民料理は安くておいしい上、日本人にもなじみやすい味付けの料理もたくさん。名物は、

  • 「ブン・ボー・フエ(Bún Bò Huế)」…お米でできた麺と牛肉が入ったもっちりした食感の麺料理
  • 「バイン・ベオ(Bánh bèo)」…蒸した米粉の生地の上にエビや豚の皮を乗せ、万能ダレのヌクチャムと一緒に味わう

など。

バイン・ベオは宮廷料理ともされていますが、現在では気軽に食べられる庶民的な料理としても知られています。宮廷料理も庶民料理も、フエでしか味わえないものもたくさんありますので、フエ滞在時に食べ比べを楽しんでみてくださいね。

フエの基本情報とおすすめ観光スポットのまとめ

フエの滞在に必要な情報とおすすめ観光スポット、そして名物料理についてご紹介しました。フエはベトナム有数の観光地でありながら、ゆったりとした雰囲気の街です。穏やかな時間が流れるフエでの滞在は、心と体のリフレッシュにぴったりですよ。そして、王宮や陵墓、名物料理を楽しめばフエの魅力を存分に満喫できるでしょう。ダナンやホイアンからも近く、ふらっと立ち寄ることもできます。今度の休暇にはぜひ、ベトナムのフエを訪れてみてはいかがでしょうか。

【ダナン情報完全まとめ】はじめてのダナン!通貨は?時差は?直行便はある?観光前の基本情報

ランタン煌めく古都・ホイアンの全てが分かる!行く前に知りたい基本情報をご紹介

関連記事